主要な5つの再生可能エネルギー
太陽光発電
太陽光発電は、太陽電池を使用して太陽光をエネルギーに変換し、発電を行います。再生可能エネルギーの中では最も導入が進められており、その理由としては、
- 空きスペースがあればどの地域でも設置が可能
- 二酸化炭素を排出せずに発電できる
- 太陽光をエネルギー源としていることから、枯渇する心配がない
- 一度設置してしまえばメンテナンスの必要がほとんどない
という点が挙げられます。
変換効率の悪さやコストの高さ・気候条件による発電量の変動など課題も残されているものの、多くの家庭で導入ができているのは、ソーラーローンというシステムのおかげでしょう。
太陽光発電を導入する場合に使用が可能なソーラーローンは、金融機関から低金利で支援が受けられるというもの。発電された電力は自由に売電でき、ローン返済の助けとなるため、銀行の審査も厳しくはありません。
また、家庭用のみならず、近年は「ソーラーパーク」と呼ばれる発電所も多く建設されるようになりました。エネルギー源が太陽光のため、宇宙開発でも活躍が期待できます。
今後の日本の発展には欠かせないものとなるでしょう。

風力発電
風力発電は、風の力を利用して風車を回し電力へと変換するシステムです。二酸化炭素を排出しないことに加えて、
- エネルギー変換効率の高さ
- 発電コストの安さ
も魅力です。
また、地上のみならず海上にも設置ができて設置工事も短期間で終わることから発電所の数は増加しているものの、一年を通して安定的に風が吹いている場所でないと一定量の電力が得られず、日本ではそのような場所は多くないため、さらなる改善が要求されています。

水力発電
水力発電は、水の流れを利用して水車を回し発電するシステムです。発電方法は二種類で、
- 河川・用水路に直接水車を設置して発電する「流れ込み式」
- 一度ダムに水を集め、放流することで発電する「貯水池方式(ダム式)」
があります。
豊富な水資源を持つ日本では、
- 二酸化炭素を排出しない
- 水量調節が簡単なため発電量を自由にコントロールできる
という利点から水力発電をメインとして発電が行われていました。しかし、高度経済成長期に入ったことで電力の需要が急増。短期間で膨大な電力を供給できる環境が求められたため、大規模な火力発電所が相次いで建設されるようになります。
これにより、かつては「水主火従」であった日本も1963年には「火主水従」へと変化し、水力発電は衰退していきました。
また、ダムを利用する大規模な施設を建築できる地域はすでに開拓が行われており、環境面への影響も考えるとこれ以上の開発は難しいと考えられています。
そのため、流れ込み式を利用した「小水力発電」が今、注目を集めています。小水力発電は場所を選ばずに建設が行えるため、「エネルギーの地産地消」も可能となります。

地熱発電
地熱発電は、地下に存在するマグマの熱を利用して発電するシステムです。地中に含まれている水分は、地下深くに進むにつれてマグマの熱によって蒸気に変化していきます。
この蒸気を利用するために1000m~3000mほどの深さまで掘削して井戸を作り、そこから噴出させた蒸気でタービンを回して発電が行われます。
地震大国の日本において地熱資源は豊富ではあるものの、
- 発電所の建設に多くの時間と費用を要する
- 水力発電以上に建設場所が限定される
ことから、導入はほとんど進められていないのが現状です。

バイオマス発電
バイオマスは、木くずや稲わら・可燃ごみなどの資源の総称で、バイオマス発電とは、これらを「燃やす」あるいは「ガス化する」ことでタービンを回して発電するシステムのことです。
発電時に排出される二酸化炭素は、原料となっている植物が成長中に行う光合成で同程度吸収されているため、結果的に二酸化炭素を増やしていることにはならない、と考えられています。
このような考え方を「カーボンニュートラル」と呼び、世界的に取り組みが進められています。
バイオマス発電のメリットは、
- 廃棄されるはずのごみを資源としているため環境の地域改善につながる
- 天候に左右されることなく資源の供給ができる
という点が挙げられ、また、バイオマス発電は環境条件にも左右されないためどの場所にでも発電所が建設できることから、エネルギーの地産地消にも期待が持てます。

今後活躍に期待ができる再生可能エネルギー
今はまだ聞き慣れないものの、日本ではほかにも自然を活用して発電を行っているものが存在しています。
太陽熱発電
太陽熱発電とは、太陽光をそのまま用いるのではなく、太陽の熱を利用してタービンを回し発電を行う方法です。
ソーラーパネルでの発電は、太陽の光を直接電力に変換しているため、太陽が昇っていない夜間には供給が行えないという欠点がありました。
しかし、太陽の熱を利用したこの発電方法は、専用の蓄熱装置によって熱エネルギーの保存が可能なため、昼夜を問わず安定した電力の供給ができるようになりました。さらに、反射鏡・レンズを使用して行われるため、ソーラーパネルを使用する太陽光発電よりも低コストでの発電が可能です。
雪氷熱利用
雪氷熱利用とは、北海道などの寒冷地で導入が進められているシステム。冬季に降り積もった雪・氷を保存し、夏季にアイスシェルターや雪冷蔵として活用することで電力の消費を抑えるというこの試みは、本来であれば除雪・融雪にかかるはずの費用を抑えることにもつながります。
雪を大量に集めて運搬する方法や保存するための大規模な施設の確保などまだ課題は残されていますが、デメリットをメリットに変えられる再生可能エネルギーとして全国ですでに100ヵ所以上に導入されています。
温度差熱利用
温度差熱利用は、地下水や河川水・海水・下水などの水源の温度と大気中の気温の差を利用して行われます。水源の温度は気温に比べて、夏には低く・冬には高い傾向にあるため、この温度差をヒートポンプ技術によって熱エネルギーへと変換し、給湯・冷暖房へと活用します。
自然から生まれたクリーンなエネルギーとして全国各地で普及が進められています。
地中熱利用
地下10m~15mの深さにおける温度は年間を通してあまり変化が見られません。そのため、地中の温度は気温に比べて、夏には低く・冬には高い傾向にあるということで、温度差熱利用と同様に温度差を利用してさまざまなシステムに活用されています。
日本には、活用が期待されるさまざまなエネルギー資源と発電方法が存在しています。自然環境にも配慮がされた発電方法は今後、技術開発・補助金制度の充実によって広く普及していくことでしょう。