お酒日本酒「久保田」は何を買えばいいの?百寿や千寿の違いを詳しく教えます!

日本酒「久保田」は何を買えばいいの?百寿や千寿の違いを詳しく教えます!

久保田の蔵元、朝日酒造のある越路地域は、長岡市の中でも特に雪の多い豪雪地です。雪は不便なことも多いですが、酒造りの場合には全く異なります。雪は空気をきれいにし、温度・湿度を一定に保ち、良い湧水にもなります。まさに絶好の環境なのです。

常時販売している久保田のお酒

商品情報に含まれる用語について

  • アルコール度数…アルコールが含まれる割合。例えば「15度」は15%のこと
  • 日本酒度…甘口・辛口の目安で、糖分が多く甘いものは日本酒度「-」、糖分の少ないものは日本酒度「+」となる
  • 酸度…日本酒に含まれる酸の量を表す数値。基本的に、酸度が高いお酒は舌への刺激が強いため辛口に感じやすく、酸度が低いお酒は刺激が弱いため甘口に感じやすくなる
  • 麹米…米麹を作る際に使用される米のこと
  • 掛米…「酒母」「もろみ」を行う際に使用される米のこと
  • 酒母(しゅぼ)…糖分をアルコール発酵させるために、酵母をしっかりと培養させる工程のこと
  • もろみ…酵母が増えた段階で水を加えて、アルコール発酵を行う工程のこと

萬寿(まんじゅ):純米大吟醸

萬寿は久保田の中で最も有名なお酒です。

純米大吟醸酒の原料は「米・米麹・水」のみ。麹米には「五百万石」を使用し、精米歩合は50%。掛米には新潟県産米を使用し、精米歩合は33%。お米の最も良い部分を使ったお酒です。

アルコール度数は15度、日本酒度は+2、酸度は1.2です。香りが良く調和のとれた旨味は、のど越しも最高。冷やしても温めても楽しめる、蔵人が丹精を込めて仕上げた申し分のないお酒です。

碧寿(へきじゅ):純米大吟醸(山廃仕込)

「山廃仕込(やまはいしこみ)」とは「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」の略です。

江戸時代はじめのころは菌を殺し酵母の発生を助ける働きのある乳酸が市販で手に入らなかったので、米・米麹・水をすりつぶし、溶かして混ぜ合わせることで空気中に存在する乳酸菌を取り込むという重労働を行っていました。これを「山卸」と呼びます。そして、その山卸作業を使った醸造方法が「生酛造り(きもとづくり)」です。

しかし明治時代後半になり、わざわざ米・米麹・水をあわせてすりつぶさなくても、水に麹を入れて酵素を溶かしておくことで全く同じ作業結果になることが判明しました。その結果、山卸という重労働をする必要がなくなったために「山卸」を「廃止した酛」、つまり山卸廃止酛と呼ばれているのです。

碧寿は、この山廃仕込を使用した久保田なのです。

純米大吟醸(山廃仕込)の原料も「米・米麹・水」のみで、麹米には五百万石を使用し精米歩合は50%、掛米にも五百万石が使われており精米歩合は50%です。

アルコール度数は15度、日本酒度は+2、酸度は1.2。深みのある味わいで、冷酒・常温・ぬる燗で楽しめます。

千寿(せんじゅ):吟醸

端麗辛口ならではの「食事と楽しむ吟醸酒」として人気のあるお酒です。この吟醸酒も麹米には五百万石を使用し精米歩合は50%、掛米にも五百万石が使われており精米歩合は55%です。アルコール度数は15度、日本酒度は+5、酸度は1.1です。料理の邪魔にならない穏やかな香りと柔らかな口当たりが飽きない味わいを生み出します。

百寿(ひゃくじゅ):特別本醸造

久保田シリーズの基本形です、この特別本醸造酒の精米歩合の内訳は、麹米が五百万石を使用し精米歩合は60%、掛米が新潟県産米を使用し精米歩合は60%です。アルコール度数は15度、日本酒度は+5、酸度は1.0で、香りと味わいが控えめのため様々な料理に合います。

紅寿(こうじゅ):純米吟醸

この純米吟醸酒の精米歩合は麹米には五百万石を使用し55%、掛米には新潟県産米を使用し55%です。アルコール度数は15度、日本酒度は+2、酸度は1.1と、常時発売の久保田の中では数値的には最も辛くない酒になっています。わずかな甘みと酸味、程よい味わい、穏やかな香りも喜ばれます。

雪峰(せっぽう):純米大吟醸(山廃仕込)

2017年に生まれた久保田です。碧寿と同じ「純米大吟醸(山廃仕込)」ですが、原料の米が異なります。この純米大吟醸(山廃仕込)は、麹米には五百万石を使用し精米歩合は50%、掛米には新潟県産米を使用し精米歩合は33%となります。アルコール度数は16度、日本酒度は+2、酸度は1.4です。

この「雪峰」という名前は、同じ新潟県にあるアウトドア用品の有名メーカー 「snow peak」から来ています。まさにアウトドアの日本酒の最高峰で、用意されている瓶はザックにも馴染む500mlのみです。

【一覧表】

度数酒度酸度麹米精米歩合掛米精米歩合
萬寿15度+21.2五百万石50%新潟県産米33%
碧寿15度+21.2五百万石50%五百万石50%
千寿15度+51.1五百万石50%五百万石55%
百寿15度+51五百万石60%新潟県産米60%
紅寿15度+21.1五百万石55%新潟県産米55%
雪峰16度+21.4五百万石50%新潟県産米33%
生原酒19度+51.4五百万石50%五百万石55%
翠寿14度+40.9五百万石50%新潟県産米40%
純米大吟醸15度±01.3五百万石50%五百万石50%

千寿と百寿の違いは?

千寿と百寿の違いは何でしょう?掛米については千寿は五百万石と百寿は新潟県産米と異なり、精米歩合は麹米・掛米ともに千寿の方が高いです。アルコール度数と日本酒度は同じ、酸度は千寿1.1に対して百寿は1.0とわずかに違います。酸度は高い方が辛いとされます。

価格は1.8リットルで千寿2,430円、百寿2,010円(どちらとも税抜)となり、少しだけ千寿の方が高いです。

料理やおつまみに合わせて選ぶのも楽しいでしょう。

 

期間限定で飲める久保田のお酒

期間限定で飲める久保田のお酒

その時期にしか飲めない特別な久保田です。飲める日を指折り待つのも趣がありますね。

生原酒(なまげんしゅ):吟醸(原酒・生酒)(1月限定出荷)

この純米吟醸酒の精米歩合の内訳は、麹米には五百万石を使用し50%、掛米にも五百万石を使用し55%です。アルコール度数は19度、日本酒度は+5、酸度は1.4で、スッキリかつしっかりとした味わいを楽しめます。強い日本酒が好きな人におすすめです。

翠寿(すいじゅ):大吟醸(生酒)(4〜9月限定出荷)

この大吟醸酒の精米歩合の内訳は、麹米には五百万石を使用し50%、掛米には新潟県産米を使用し40%です。アルコール度数は14度、日本酒度は+4、酸度は0.9となります。

加熱殺菌を一切していない大吟醸の生酒は瑞々しく口当たりも繊細。アルコール度数も弱く、軽く冷やして香りと一緒に楽しめます。冷蔵庫に置かれて販売されていますので、ご家庭でも冷蔵庫に入れてお楽しみください。

純米大吟醸(6月・10月限定出荷)

この純米大吟醸酒の精米歩合の内訳は、麹米には五百万石を使用し50%、掛米も五百万石を使用し50%です。アルコール度数は15度、日本酒度は±0、酸度は1.3となります。久保田の中では珍しい日本酒度の±0のお酒で、ほとんど辛みがありません。

実に個性的な久保田。華やかな香りは洋梨やメロンのようで、ひとたび飲めば上品な甘みが口いっぱいに広がります。

 

日本酒 久保田の歴史

1830年(天保元年):朝日酒造が現在と同じ場所でこの年に創業、屋号は「久保田屋」
1920年(大正9年 ) :朝日酒造株式会社創立
1985年(昭和60年):久保田 発売(最初の久保田は千寿・百寿)
1986年(昭和61年):久保田万寿 発売
1987年(昭和62年):久保田翠寿 発売(4月~9月限定)
1988年(昭和63年):久保田碧寿 発売
1993年(平成5年)  :久保田紅寿 発売
2017年(平成29年):久保田純米大吟醸 発売(6月・10月限定)
2017年(平成29年):久保田雪峰 発売(snow peakとのコラボ)

このように、久保田は次々と新しいお酒を出しています。特に2017年の「雪峰」における「自然の中で楽しむ」というライフスタイルの提案は、日本酒に新しい可能性を示しました。

 

日本酒 久保田とは

日本酒 久保田とは

新潟県は米作りで生産量も品質も1番の評価を得ています。久保田を製造している朝日酒造も米を作っており、本社の建物の裏側には自社の広い水田があります。酒米作りの段階からお酒を考えているのです。

1960年代後期、戦後の食糧難の時代が過ぎ米不足が解消。1970年からは生産調整(減反)がはじまります。米不足で困っていた酒造業にとって良い時代になるかと思われましたが、ビールの消費量が急激に増え日本酒の消費が大変に落ちてしまいました。

このままでは酒造業に未来はないと、朝日酒造は社運をかけて「原点に還ろう」「新潟の良い環境を生かした良い酒を造ろう」を掲げて新しい酒作りに挑みます。

そしてその結果、1985年に久保田が生まれたのです。

当時の主流は濃い酒でしたが、久保田は淡麗辛口です。「果たして売れるのか?」との心配の声をよそに、「飲みやすいし料理にも合う」と口コミなどでどんどん人気を獲得していきます。

そして、満を持して「万寿」を発売。これがたちまち日本を代表するお酒になりました。

より良いお酒を目指す久保田の取り組みは1990年の農業生産法人「有限会社あさひ農研」の設立に繋がります。本社裏の水田があさひ農研の水田です。そこでは酒米の生産や環境保全への取り組みを行っています。

さらに久保田は範囲を広げ、「公益財団法人  こしじ水と緑の会」を立ち上げて環境保全を進めながら、全国の同様な取り組みを支援しています。

 

伝統工芸との出会い「久保田と手すき和紙」

久保田は朝日酒造の創業以来の地元の魅力を込めたお酒です。「その心を表すラベルが必要だ」と社長・平澤亨は提案します。

そしてたどり着いたのが、お隣柏崎市の越後門出和紙「手すきの和紙」です。

手すき和紙とは、機械で作る和紙と違って人の手で作られる和紙のことです。強度があり、風合いも極めて優れています。価格的には高くなりますが、「お酒が何であるかを表現できるのはこの手すき和紙しかない!」と確信されました。

久保田はその和紙を2枚重ねて厚いラベルにしています。

人の手でラベルを貼り続けるのには限界があり、数量が増えてくれば機械化が必須です。しかし、手すき和紙は1枚1枚サイズが微妙に違うため機械で貼るのは大変です。

平澤社長はそれでも「手すき和紙」を使うことにこだわり、それぞれ微妙にサイズが違う和紙にも対応できるような機械の製作を行って見事に完成させました。和紙を機械に合わせるのではなく、機械が和紙に歩み寄ったのです。

かくして久保田万寿のラベルは厚々とした風合いのある和紙のラベルのまま、現在まで続いています。

 

 

地方創生、CSR(企業の社会貢献)という言葉がありますが、久保田から生まれた原点回帰の活動は、すでに地方創生とCSRを実現しているのではないでしょうか。

久保田の今までの取り組みに想いを馳せながら日本酒を嗜むのもまた一興ですね。