歴史ある日本の伝統工芸琉球ガラスの美しさと魅力|特徴のルーツはその歴史にあり?

琉球ガラスの美しさと魅力|特徴のルーツはその歴史にあり?

太平洋戦争後、駐留米軍のコーラやビールなど色つきの瓶の再生から琉球ガラスが生まれた歴史を知っていますか?見た目の特徴もこれがルーツなのです!その後、沖縄県の伝統工芸品に認定されて多くの名工を輩出するまでになった琉球ガラスの美しさと魅力について探っていきます。

琉球ガラスの歴史

琉球ガラスは4人~5人で制作される手作りガラスで、「宙吹き法」や「型吹き法」という手法で作られる吹きガラス工芸です。

明治時代〜沖縄海洋博覧会時(1975年~1976年)

琉球ガラスの歴史は明治時代に遡ります。長崎や大阪からガラス職人が招聘され、ランプや薬瓶・蚊取り瓶などの生活用品を制作が始まります。これが琉球ガラスの始まりと言われています。

現在の琉球ガラスの特徴がはっきりと生まれるのは、太平洋戦争後(1950年代後半)です。この時代に駐留米軍の持ち込んだコーラやビールなどの色つきガラス瓶などをもとに、気泡を含んだ「少し変わった自然なデザイン」が生まれ、沖縄独自のガラス文化が誕生します。

アメリカから持ち込まれたガラスビンがルーツになった商品はほかにも
琉球ガラスと同じく、アメリカ由来のガラスビンが元になった商品があります。みなさんご存知のビールテイスト飲料のホッピーです。ホッピーは戦後、爆発的な人気を博すのですが、それゆえにビンが急速に不足してしまいます。このとき、アメリカの進駐軍が廃棄するビールビンを回収することで危機を乗り越えたのです。実は、この歴史が今のホッピーのデザインにも反映されているのですね。
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その後、ベトナム戦争時(1960年代)には、沖縄にやって来た米兵のお土産として脚光を浴びて注文が増え、工房も増えていきます。さらに、1972年の本土復帰後に開催された沖縄海洋博覧会(1975年~1976年)で観光客のお土産として知られるようになり、需要が増えていきます。そして、廃瓶の再生利用に替わり原料ガラスが使用されるようになります。

1983年〜現在

1983年には琉球ガラス工芸協同組合が誕生し、琉球ガラス工房の全8社のうち6社の琉球ガラス工房が合併した後、1985年には琉球ガラス工芸協業組合に組織変更し、直営の琉球ガラス村をオープン、共同生産・販売も実現します。

この琉球ガラス村では後述するように琉球ガラス作りを始めとしたさまざまな体験ができるので、人気の観光スポットにもなっています。

そして、1990年以降に琉球ガラスから大城孝栄、稲嶺盛吉、桃原正男ら3名の「現代の名工」(労働大臣表彰)が生まれます。さらに1998年には、琉球ガラスが沖縄県の伝統工芸品にも認定されました。今ではさらに工房・個人工房が増え続け、さまざまな作品が生まれています。

 

琉球ガラスの美しさをグラスやアクセサリーで味わう

琉球ガラスの美しさをグラスやアクセサリーで味わう

琉球ガラスの美しさを比較的お手軽に楽しめる商品を数個ピックアップしてみました。オンラインで買うのもよいですが、頭にインプットしておいて、沖縄旅行の際に購入するのもよいですね

琉球ガラス カレット 虹のかけら

琉球ガラスのカレットです。カレットとはガラス製品などを破砕したものです。「割れ方や光の加減によりとても綺麗」ということでレジンアクセサリーの材料として使われるようになりました。

沖縄県工芸士謹製琉球グラス ガラス 残波の夕日グラス

「読谷村(よみたんそん)」で生まれ育った沖縄県工芸士「松田将吾」が作ったグラスです。読谷村の北端には30mもの断崖絶壁になっている「残波岬(ざんぱみさき)」があります。その岬から眺めた夕日は美しく、その景色への想いを込めて作られたのが残波の夕日グラスです。

吹きガラスによる完全な手作業で作られたグラスには、飲むたびに違う色合いになるよう工夫が施されています。ビールを注ぐと夕日の色が、泡盛を入れると爽やかな青が浮かんできます。お酒を飲むのが一段と気持ちよくなる、そんなグラスです。

エンジェリック 琉球ガラス 元祖美ら海 ロックタンブラー

オリジナルな名入れのできるロックタンブラーです。ロックグラスより縦に少し長くなったものがロックタンブラーで、上部のスペースに名入れができます。漢字でも英語でもお好きな文字を彫刻できます。

グラスは厚みのあるしっかりとしたもので使いやすく、3色の中からお好きなものが選べますのでペアグラスにしてもおしゃれです。沖縄の海を思わせる工夫があり、飲むにつれて微妙に色が変わるのも魅力です。

ガラスの幻想 ほたる玉

ほたる玉とは、銀箔をガラス玉に入れてほたるの幻想的な輝きのようにしたガラス玉です。色はブルー、ピンク、グリーンなど。職人が手作業で一つひとつ作っているため、同じ規格サイズでも大きさが若干異なります。

しかしそれもまた魅力の一つ。さらに、ガラス玉の中の銀箔部分も1つ1つ異なっているので違う輝きを楽しめます。

主に、ブレスレットやネックレス・ピアス・かんざし・ストラップに使われることが多く、女性へのプレゼントにも人気です。

沖縄県産プレミアム琉球ガラス 海風風鈴

読谷村(よみたんそん)の沖縄工芸士松田将吾氏のヒット作「海風ロック」創立10周年モデルがベースになっていて、本体の水色の中に気泡などがあり、まるで海そのもののようなデザインをした風鈴です。

中のサンゴは工房のすぐ近くのニライビーチで採取したもので、まさに沖縄の音を奏でる風鈴です。海外での人気も高くアメリカやヨーロッパからの注文も目立ちます。

 

琉球ガラス工房での手作り体験

琉球ガラス工房での手作り体験

琉球ガラスを購入するだけでは物足りないという方に……那覇空港から車で約25分、糸満市字福地にある琉球ガラス村では、ガラス作品の製作が体験できます。

グラス作り体験など合計で15種類以上のメニューがあり、所要時間も10分程度から可能で、時間のない方でも素敵な経験ができます。子供から大人まで楽しめるので、家族で行ってそれぞれ別々のメニューを行うこともできます。営業時間は17時30分までですが、年中無休なのが嬉しいポイントです。

オリジナルグラス

なかなか体験することができないガラスを膨らませる「型吹き」などの工程を、職人気分で楽しめる一番人気のメニューです。10分程度でできるので、時間のない方にもおすすめです。

ジェルグラス

「小さな海の世界」をガラス容器の中に作る体験です。砂の上にガラスの魚や貝を並べてあなただけのジェルキャンドルを作りましょう。もちろん、ガラスもお好きな種類から選べます。

制作時間は40分ですが、冷ましの時間も含めると合計80分かかるため、時間に余裕がある方にオススメの体験です。

フォトフレーム

琉球ガラスのかけらや貝を木製のフォトフレームにボンドで貼りつけていきます。どんどんキレイなフォトフレームになっていくので夢中になりやすく楽しい体験です。

所要時間は40分。沖縄旅行のお気に入りの写真を飾って、素敵な思い出をよりいっそう引き立たせてみては!?

アクセサリー

家族や友人とワイワイ喋りながら楽しめる人気の体験です。琉球ガラスのトップを紐やビーズと組み、ストラップやネックレスなどを作ります。

こちらも所要時間は40分。1,650円からと料金もお手軽なので、実用的なお土産としてもピッタリです。

シーサーの色付け

シーサーや魚・風鈴に色を塗る体験です。家族全員、子供からおじいちゃん・おばあちゃんまで楽しめます。

色付けをする種類によって異なりますが、最短の所要時間は40分/金額は1,650円からになっています。沖縄の守り神、自分だけのシーサーを作って、玄関に飾るのもよいですね!

 

戦後から多くの人の手で引き継がれてきた琉球ガラスは沖縄を楽しむうえですっかり欠かせないものになっています。素晴らしい製品を購入するもよし、楽しい体験をするもよし、琉球ガラスはさまざまな喜びを私たちにもたらしてくれることでしょう。