ライフスタイルユニバーサルデザインとは?バリアフリーとの違いも解説!

ユニバーサルデザインとは?バリアフリーとの違いも解説!

近年、日本でさまざまな商品やサービスに応用されるユニバーサルデザインとは、いったいどのような意味を持っているのでしょう。混同されがちなバリアフリーの違いとともに紹介していきます。

ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザインの考え方

ユニバーサルデザインとは「特殊な設計や調整をすることなく、できる限り多くの人が利用できるように製品やサービス・生活環境をデザインする」という考え方です。

ユニバーサルデザインの例として自動ドアとシャンプー容器があります。

  • 自動ドア:何か特殊な動きや道具を必要とせず、車椅子に乗っている人や両手に荷物を抱えている人でも簡単に利用できるデザインとなっている
  • シャンプーの容器:リンスの容器と間違われないように容器の側面に突起が付いているため、目の不自由な人やシャンプー中で目が開けられない人でも簡単に区別が付くデザインとなっている

ユニバーサルデザインが指す「デザイン」という言葉には、見た目に関する意味合いだけではなく、その内部の構造も含めた全てが表現されているのです。

ユニバーサルデザイン導入の背景

「ユニバーサルデザイン」という考え方を初めて提唱したのは、アメリカの建築家であり急性灰白髄炎という障害を持っていたロナルド・メイス。彼が提唱するきっかけを作ったのが、1990年に施行された「障害を持つアメリカ人法(ADA)」という法律です。

この法律は、障害を持つ人が利用しにくい施設や設備を「差別」であると位置付け、誰もが利用できるように製品やサービスの適切な対応・調整を保証させるというもので、

  • 障害の影響による勤務時間の短縮や勤務スケジュールの変更を容認する
  • 障害を持つ人にも持たない人にも同等の雇用機会を設ける
  • 建物内には必ず車椅子利用者用のスロープを設ける

などが細かく定義されています。

しかし、この法律は全ての製品やサービスを対象にはしておらず、また、基準を満たしているからといって障害を持つ人が何不自由なく生活できるというわけでもありません。

法律の限界を肌に感じ取ったロナルド・メイスは、「全ての人が快適に暮らせるようなデザインを」とユニバーサルデザインを提唱したのです。

 

バリアフリー・ノーマライゼーションとの違い

バリアフリー・ノーマライゼーションとの違い

3つの理念

ユニバーサルデザインに似た考え方として「バリアフリー」があります。また、この二つの考え方の基盤となっている理念として「ノーマライゼーション」もあります。

バリアフリー

バリアフリーは、障害のある人にとっての「障壁(バリア)」を「除去(フリー)」するという意味を持っています。

日本でも着々と導入が進むバリアフリーとはいったい何? 日本でも着々と導入が進むバリアフリーとはいったい何?

始まりは建築用語でしたが、次第に広く使われるようになりました。

ノーマライゼーション

ノーマライゼーションは、「全ての人が同じように普通の生活ができるよう均一化された社会を目指す」という考え方です。これをさらに具体的に推進していこうという考え方にバリアフリー・ユニバーサルデザインがあります。

ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインは、障壁を除去するバリアフリーに対して、初めから障壁(バリア)のないデザインを作っていこうという考え方です。また、障害のある人に対してだけではなく、外国人やお年寄り・妊婦の人などさまざまな人が利用しやすいように、と定義されています。

バリアフリーとユニバーサルデザインの比較

例えば、公共施設にもよくある車椅子用のトイレ。通常のトイレを使えない車椅子利用者にとってこのトイレは、障壁を除去するためのバリアフリー設備であると言えるでしょう。

しかし、車椅子用のトイレは車椅子利用者のみを対象にしているため、そのほかの問題を抱えている人には効果がありません。

ユニバーサルデザインは、トイレ内に赤ちゃん台が欲しい人や体が不自由で介助が必要な人など、トイレを利用する全ての人が快適に利用できるようにする、という考えが起点となっています。

 

ユニバーサルデザインの基本的な考え方

ユニバーサルデザインの基本的な考え方

ユニバーサルデザインにおいて「完璧なユニバーサルデザイン」というものは存在しません。

壁に取り付けられている電気スイッチを例に挙げてみましょう。

電気スイッチの進化に見るユニバーサルデザイン

スイッチが壁になかった時代には、天井につり下げられた電球に付いているひもを引っ張って付けたり消したりしていました。そのため、身長の小さな子どもや指先の複雑な動作が苦手な人には大変不便なものでした。

技術の進歩によって電気スイッチが開発されると、小さい子どもでも簡単に電気を付けられるようになります。さらに、ボタン部分を大きくしたスイッチも登場し、指先の複雑な動作が苦手な人でも簡単に操作できるようになりました。

しかしそれでも、完璧なユニバーサルデザインとは言えないのです。

ひもを引っ張ることでしか電気を付けられなかったころからすれば確かに大きな進歩であり、よりユニバーサルデザインとして機能していると言えますが、スイッチに手が届かない人や体に麻痺のある人は電気を付けることができません。

そこで、人が触れることなく操作ができるセンサー式のスイッチの開発がされています。今後もさまざまな技術開発によって便利性はどんどん高まっていくことでしょう。

ユニバーサルデザインは、「このデザインの方がより多くの人が使いやすいだろう」という比較を続けてより完璧なものを目指していく、という考え方なのです。

ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザインを考えるうえで欠かせないのが、2005年にロン・メイス博士を中心に提案された「ユニバーサルデザインの7原則」です。

この7つの原則を役立てることで、障害を持つ持たないは関係なく、より多くの人に利用しやすい製品や設備・環境が作り出されることが期待されています。

しかしながら、

  • 7原則自体がユニバーサルデザインとしての評価となるわけではない
  • 7原則全てを守る必要はない

ということは留意しておきたいポイントです。

では、7つの原則について見ていきましょう。

誰にでも公平に利用できる

製品やサービスは、誰でも公平に利用できるように作られていることが大切です。

例えば、自動ドアは人が接近するだけで自動で開きます。これは、車椅子利用者でも目の不自由な人でも買い物袋などで両手のふさがっている人でも不自由なく簡単に使うことができます。

使ううえで自由度が高い

さまざまな使い方や状況に合わせて使用できる自由度の高さが定義されています。

例えば、エレベーターには上向きと下向きのボタンがそれぞれ2セット取り付けられている場合があります。

これは、車椅子利用者でも手が届くように低い位置に配置されており、このボタンを押してエレベーターを呼んだ場合は、車椅子利用者でも慌てずに乗れるようドアが開いている時間が少し長くなるように設定されています。

このように、使う人によって使い方を選べるようになっていることが重要です。

使い方が簡単ですぐ分かる

使ったことのない人でも見ただけで分かるよう、単純明快なデザインにすることが求められています。

例えば、私たちが生活するうえで何度も押すであろうさまざまなスイッチ。これらは特別な説明を受けていなくても「ここを押せば良いのかな?」と判断し、操作することができます。日本に旅行に来た外国人でもそれは同じで、何となくここを押せば良いだろうと直感的に感じ取り、使うことができるでしょう。

必要な情報がすぐに理解できる

どのような状況下においても、必要な情報がしっかりと伝わるように作られているかどうかが求められています。

例えば、電車内に取り付けられている画面では、次の駅を漢字・ひらがな・英語・中国語のようにさまざまな表記で表すことで多くの利用者へ情報を伝えられるようになりました。また、歩行者用の信号機を音が出るように改良したり、公共施設の案内図に点字を追加することも行われています。

うっかりミスや危険につながらないデザインである

失敗やミスをできる限り起こしにくくするように設計したり、万が一操作を間違えても安全なまま使えるようにすることが大切です。

例えば、最近よく目にするようになった電車のホームにある二重ドア。これは、ドアを電車が到着するまで閉じておくことで、乗客がホームへ転落する危険性を限りなく低くします。

また、電子レンジには誤って完了前に扉を開けてしまっても自動的に停止する機能が付いています。

体への負担の少なさ

体に無理な負担をかけることなく、同じ動作の繰り返しを少なくしたり自然な姿勢で快適に使えるようになっているかどうかが大切です。

例えば、多くの人が利用している交通系ICカード。タッチをするだけで改札を通れて毎回切符を買う手間も省けるため、とても便利です。

アクセスしやすいスペースと大きさを確保する

使う人の体型や姿勢・使用する状況にかかわらず、使いやすいスペースと大きさを確保できていることが大切になります。

例えば、公共施設でよく見かける多目的トイレ。ユニバーサルデザインを意識して作られた広々とした空間は、車椅子利用者はもちろん、赤ちゃん連れの人や多くの荷物を持った人などさまざまな人が利用できます。

 

ユニバーサルデザインは、障害を持つ人が快適な生活を送れるようにしようという考え方ではなく、より多くの人が同じような暮らしを送れるようにしようという考え方が根本にあります。

世の中のさまざまな商品やサービスをユニバーサルデザインの視点で見つめ直すことで、今まで気付かなかった新たな発見や課題と向き合えるかもしれません。