歴史ある日本の伝統工芸博多織の特徴と歴史|人気グッズもピックアップ!

博多織の特徴と歴史|人気グッズもピックアップ!

福岡県の博多周辺で作られる博多織は、華麗さと緻密さが特徴的で、800年にも迫る歴史を誇る高級織物として古くから人々を魅了してきました。京都の西陣織・群馬の桐生織とともに日本の三大織物として知られる博多織は、今なお伝統を守りつつ新たなグッズを生み出すなど進化を続けています。

博多織の歴史

博多織の歴史
博多織は、絹織物の産地として有名な福岡市博多地区で製造される絹織物の総称で、着物としてだけではなく、財布など身近なグッズにも使われることがあります。

まずはその歴史から見ていきましょう。

中国の技術に博多独自の技術を融合

博多織は、鎌倉時代の1235年に博多商人の満田弥三右衛門が僧侶の弁園和尚とともに中国(宋)へ渡り、美しい絹の織物とその技術を博多に持ち帰ったことから始まったと言われています。

当時、宋から織物以外にも朱焼や箔焼などの技術を持ち帰り、その製法が博多の人びとに伝えられていましたが、織物の技法については独自の技術を加えながら家伝とされました。

その後、1480年ごろに満田弥三右衛門の子孫、彦三郎が再び中国(明)へ渡り織物のさらなる技法を研究。帰国後に改良を重ねた結果、浮線紋や柳条など模様の浮き出た厚地の織物を作り出すことに成功したのです。

その技術発祥の地が博多であったことから「覇家台織(はかたおり)」と名付けられ、後に現在の博多織の名称となりました。

博多織は博多市以外でも作られる?
冒頭で「博多織は博多周辺で作られる」と書きましたが、実は、佐賀県唐津市にも工場があります。井上絹織という会社で、博多市から唐津市に会社を移転し、オリジナルブランドを展開しています。また、唐津市は博多織と同じく古い歴史を持つ伝統工芸の陶器、唐津焼の産地としても知られています。唐津市は伝統工芸品の生産が盛んですね。

歌舞伎役者に愛用されたことで知名度が向上

江戸時代になると、福岡藩主の黒田長政は徳川幕府への献上品として博多織を献上したことから「献上博多」と呼ばれ、日本全国に知れわたるようになりました。また、当時娯楽で人気の高かった歌舞伎役者が博多織の帯を締めて演じたことから知名度とともに人気も広まったと言われています。

長い歴史と伝統的な技法が評価された博多織は、1976年に国が指定する伝統的工芸品に選ばれ、今では京都の西陣織、群馬の桐生織とともに日本を代表する三大織物として知られています。

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博多織の特徴

華麗さと緻密さを兼ね備える

博多織の特徴は、華麗で優美なあでやかさを持ちながら緻密で厚みと張りのある生地に織り上がっていることで、その結果、古くから和服や浴衣の帯として重宝されてきました。

模様や織りの技法の違いにより、

  • 献上
  • 平博多(ひらはかた)
  • 間道(かんどう)
  • 重ね織
  • 総浮(そううけ)
  • 綟り織(もじりおり)
  • 絵緯博多(えぬきはかた)

という伝統的な7品目があり、それぞれに一級品の証とされる「伝統マーク」を使用した伝統証紙が貼付されています。

全ての技法において、先染めまたは先練りした絹のたて糸と、細い糸をまとめた太いよこ糸を用いて強く打ち込み柄を織り出しています。

博多織の伝統七品目

ここからは、博多織の伝統七品目を具体的に見ていきましょう。

献上

博多織を代表する柄で、4種類の模様から構成されています。

  • 厄除けを意味する真言密教の仏具が用いられた模様の「独鈷」
  • 祝福や招福を意味する器の透かし模様を表す「華皿」
  • 親を包み込み守る子どもの様子が表された「両子持縞(りょうこもちじま)」
  • 子どもを包み込み守る親の様子が表された「中子持縞(なかこもちじま)」

これらを組み合わせた柄のことです。

江戸時代に幕府へこの柄の博多織が献上されていたことから「献上」と呼ばれるようになりました。

平博多

地組織はたてうね織で、よこ糸の打ち込みに「手投杼(てなげひ)」「引杼(ひきび)」「追杼(おいび)」という方式が用いられた織りです。

間道

時組織は平織の変化織、または綾織・朱子織で作られた縞模様の織物です。

重ね織

たて・よこ二重織以上の紋織物です。紋は、たて糸とよこ糸もしくはたて糸のみで表された帯です。

総浮

重ね織で、「浮けたて」により表された紋を用いています。

綟り織

「からみ織り」のことで、紋はたて糸よこ糸、または浮けたて、もしくは絵よこ糸で表された帯です。

絵緯博多

地組織は平織の変化織、綾織および朱子織で組織させ、紋はよこ糸で表された帯です。

 

博多織はどれ?今さら聞けない帯の種類

博多織はどれ?今さら聞けない帯の種類

半幅帯

半幅帯は幅の狭い帯のことで、一般的な帯は30cmほどの幅なのに対して半幅帯は15cm~17cm程度の細帯です。

もともと冬場に羽織などを着物の上から着ることで背中が見えない際などに使われてきました。小紋や紬・浴衣などカジュアルな着物に合わせることが多く、扱いやすい帯と言われています。

博多織の帯はこの半幅帯のもので、ギュッと締まり結びやすく、締める際に「キュッキュ」と独特の絹鳴りの音がします。

名古屋帯

名古屋帯は帯幅が広めの短い帯です。大正末期、軽くて簡単に結びやすい帯として袋帯を簡略化して作られました。名古屋で考案されたことから、名古屋帯と呼ばれています。

半幅帯と同様に小紋や紬など、着物のなかでも「普段着」と呼ばれる種類のものに合わせて一重太鼓に結んで使用します。

袋帯

最もポピュラーな帯で、長さは約430cm~450cmで名古屋帯、半幅帯よりも幅も長さもあります。袋状に折られていることから袋帯と呼ばれています。織りや染め・柄の格によって結婚式の留め袖などの礼装や訪問着・成人式の振り袖にも用いられています。

祝いの席の着物に合わせることが多く、喜びが重なるよう二重太鼓や飾り結びなどで華やかに結ぶため、帯の長さも長くなっています。

 

博多織の人気グッズ

800年に迫る歴史を持ちながら今なお進化を続ける博多織ですが、最後に4つだけ人気の商品を紹介していきます。

和物屋 本場筑前 正絹博多織 献上柄 半幅帯

しっかりと織り上げられた博多帯は、きめ細やかな光沢と一度結んだら緩むことのない締め心地の良さが特徴で、古来より愛され続けてきました。

「正絹博多織 献上柄 半幅帯」は、結びやすくてほどけにくい使い心地の良い帯で、パリッとした張りが特徴の博多織の半幅帯です。

単帯で初心者にも使いやすいため、誰でも簡単に大人の浴衣を粋に着こなせます。

稽古事や普段着の着物、また、夏祭りの浴衣などカジュアルなシーンにおいて幅広く使用でき、手ごろな価格の帯として人気です。

和風雑貨 不知火 献上柄長財布

福岡市博多で和風雑貨と和布衣料の卸売りを営む不知火の「献上柄長財布」は、博多織を代表する献上柄のデザインをそのまま取り入れた粋な長財布です。

地色は、紺・緑・エンジの3色で、献上柄と明るくきれいな色合いがマッチしています。上質ながらとても軽く、ギフトとして人気の商品です。

博多織ブラックフォーマルバック

高級素材である博多織を被せ部分に使用した気品のあるブラックフォーマルバックは、使い勝手の良い大きめのサイズで計算された美しいフォルムが特徴です。

また、高品質で汚れやキズが付きにくく実用性にも優れています。

1升ごとに織り柄を変えた「変わり市松柄」が印象的で、織の繊細なデザインが美しさを引き立てており、冠婚葬祭などフォーマルな場にふさわしい上品なバックです。

サヌイ織物 縦献上柄ネクタイ

福岡市で博多織製品の製造販売を手掛ける「サヌイ織物」は、博多織の伝統を守り、その技術を生かしながら博多織の新しい可能性に挑戦し、さまざまな商品を開発して博多織の普及に尽力している会社です。

「縦献上柄ネクタイ」は、博多織伝統の献上柄が縦に配してあり、色のグラデーションが洗練された印象の高級ネクタイです。

色はエンジ・紺・シルバーの3色で、よこ糸の色の変化により、見る角度によって織りの光沢の違いを楽しめます。

 

献上博多で有名な日本を代表する絹織物の博多織は、その長い歴史と伝統的な技法を守り続けてきました。

同時にライフスタイルの変化に合わせて、帯や着物だけでなくネクタイやバックなど新しい商品開発にも力を入れており、時代のニーズに沿った提案を通して今後も博多の伝統工芸として発展を続けていくことでしょう。