フードバンクとは

フードバンクとは
数え切れないほどの食品が廃棄されている一方で、「明日、食べるものがあるか分からない」という恐怖におびえて過ごす人が多くいます。そこで、双方の間に立って互いの問題を解決するために生まれたフードバンク。この社会的運動のスタートラインに立ってみましょう。

フードバンクとは

フードバンクとは
私たちが住む日本はモノであふれています。これは食べ物についても同様で、毎日多くの食品が作られ、その一方で目を覆いたくなるような大量の食品が廃棄されています。

しかし、廃棄される食品の中にはまだ食べられるものも存在します。この廃棄される運命にある食品を児童養護施設や高齢者施設、さらには貧困世帯に無償※で届ける社会福祉活動が食料銀行(食物銀行)を意味する「フードバンク」と呼ばれるものです。

※フードバンクは、食品を無償で提供することが一つの大きな理念となっている。しかし、無償であるがゆえに多くのフードバンク団体が慢性的な活動費の不足に陥っている。

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フードバンクの仕組み

「廃棄されそうになった食品を受け取り、その食材を求められている場所に届ける」、この仕組みが銀行に似ていることから名が付いたフードバンク。食品の提供元は主に食品製造業者や卸業者、農家です。

フードバンクの側面「集める」

食品を集めるルートは、食品関連の事業者によるものと一般企業や団体・個人によるものの二つがあります。

食品系の事業者からは外装に問題のある商品や賞味期限が近づいてきた商品を受け取ることになりますが、ここではトレーサビリティーの確保や合意書・確認書による責任の所在の確定といった認識のすり合わせが行われます。

一般企業や家庭からは「フードドライブ」などでの提供が行われますが、寄付が小口になるために提供元を追跡することが難しく、食品の寄贈の際には厳格な管理責任が必要となります。

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フードバンクの側面「配る」

食材を配ることにおいても、その対象を大きく二つに分けることができます。

一つは児童施設や社会福祉協議会などの施設や団体に対するものです。個人に対して直接支援を行う形式ではないため、衛生管理に対する高い意識とトレーサビリティーの確保が求められます。

もう一方は個人に対するものです。多数に対して支援を行うため、福祉に関する幅広い知識だけでなく行政との密な連携も求められます。また、個人や世帯に対しては食品を直送するケースもあり、その際には受益者の心情に配慮した梱包を行うなどの細かな配慮も必要となります。

 

フードバンクが立ち向かう課題「食品ロス問題」

フードバンクが立ち向かう課題「食品ロス問題」
フードバンクは、食品の提供者と受益者の間に立つ存在です。そして、このそれぞれは特有の課題を抱えています。それは「食品ロス問題」と「貧困問題」です。

日本では毎年2,000万トンにもせまる食品廃棄物が発生しており、そのうちの4分の1程度はリサイクルされているものの、残りは焼却などによって処分されています。年間で約5,000万人分〜7,000万人分をまかなえるとも言われるこの廃棄物は、多くの損失を生んでいます。

食品廃棄物のうち、製造業者から発生する事業系廃棄物と家庭などから出る一般系廃棄物の合わせて600万トン〜800万トンが、食べられるにもかかわらず処分されていると推定されています。

この量は世界全体における年間食料援助量の約2倍、また、日本における年間のコメの生産量と同程度です。

食品が廃棄される理由

販売される食品に対するデザイン面や衛生面での質の向上と引き換えに、多くがまだ食べられるにもかかわらず廃棄されています。包装の破損や誤印字(そのまま販売してしまうと食品衛生法の違反となる)はその典型例でしょう(例えば、へこんで販売ができない缶は「へこ缶」と呼ばれる)。

廃棄が行われる主な要因は以下の通りです。

・外観の異常:容器や包装の破損、商品ラベルの誤印字や食品表示の不足など、実際の品質には全く問題がないにもかかわらず販売が行われないもの
・商品在庫の処分:通常販売商品で賞味期限が迫ってきたものや催事で販売された商品の売れ残り、メーカーの生産が行われなくなることによる品番の切り替えなど、外観・内容物ともに品質に問題がないが、販売上の都合で店頭に並べられないもの
・想定量を超える生産や規格外品の発生:主に農業において、天候が良かったことにより予想外の豊作・規格外となってしまったもの
・防災用の備蓄品の入れ替え:防災用の備蓄品の更新にともなって不要になってしまったもの

食品廃棄の構造的問題「3分の1ルール」

「必要な分だけをそのつど買う」、「余る箇所が少なくなるように献立を工夫する」など、各家庭で捨てる食品を少なくする取り組みは確かにあります。

しかし、それだけでは解決しない大きな問題があるのです。家庭からの廃棄物ではなく事業系の廃棄物を多く生む要因となっている「3分の1ルール」です。

これは日本における商習慣の一つで、メーカーから小売業者への納品期限を製造日から賞味期限の日数の3分の1、同様に、店頭における販売期限を製造日から賞味期限の日数の3分の2とするものです。

例えば、賞味期限が12ヵ月の商品であれば、納品期限は製造から4ヵ月以内、店頭での販売期間は製造から8ヵ月以内となり、この期間後は割引での販売や廃棄・返品が行われることが多くなります。

このことにより、卸業者や小売業者からメーカーへの返品額は年間で約800億円、小売業者から卸業者への返品額は年間で約400億円にも上っています。

3分の1という期限は、アメリカの2分の1、イギリスの4分の3など国際的な数値と比べると短くなっています。

売れる可能性がある限り、作る、仕入れる

「3分の1ルール」とともに廃棄問題を深刻にしているのが過量の製造や仕入れです。

一般的には、販売における損益を考えた場合、多く売れるはずだったにもかかわらず仕入れを少なく見積もって販売の機会を逃すことに比べて、多少の売れ残りのリスクを抱えつつも多めに仕入れを行い、売れ残りがありそうな場合に値下げを行う方が合理的だと考えられているのです。

しかし、この慣習がメーカーにおける過剰な生産や小売店における過剰な仕入れにつながっており、解決するのが非常に難しい問題として横たわっています。

 

フードバンクが立ち向かう課題「貧困問題」

フードバンクが立ち向かう課題「貧困問題」
日本の貧困は深刻になっています。一つの目安である相対的貧困率(以下「貧困率」)※は、近年は頭打ちの傾向があるものの15.6%(平成27年)、子どもの貧困率は13.9%、特に、子どもがいる現役世代において大人が一人である世帯の貧困率は50.8%と、大変深刻になっています。そして、これは母子世帯に関して顕著です。

さらに、貧困率はこれまで数値が低かった地域でも上昇しつつあり、全国的な問題となっています。

※等可処分所得の中央値の二分の一の値である約122万円(平成27年)に満たない者の割合

世代を超えた貧困を止める

貧困世帯の子ども(17歳以下)の数は300万人を超え、これは十分な教育機会の不足を生じさせ、世代を超えた貧困(貧困の連鎖)をもたらすことも懸念されています。

2014年には「子供の貧困対策の推進に関する法律」に基づき「子供の貧困対策に関する大綱」が定められたこともあり、子どもへの積極的な支援は今後さらに社会的意義を含むものになるでしょう。

フードバンクは、いま差し迫っている貧困問題のみを解決するものではありません。子どもへの支援を通じて十分な機会の提供を目指し、将来の社会の基盤を作ることにつながるのです。

 

フードバンクは特定の社会問題の解決を一つの目的として生まれたものであることを説明しましたが、一口にフードバンクといっても、その活動の目的や運営方法はさまざまです。

次の記事では、フードバンクの具体的な分類とメリットについて解説していきます。

【次記事:フードバンクと行政の関わり方

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