南極・北極の違いと生息している生物

南極・北極の違いと生息している生物
地球上で最も過酷な環境である南極と北極。一見同じように感じるかもしれませんが、実ははっきりとした違いがあるのです。南極と北極それぞれの特徴を紹介していきます。

南極と北極の違い

南極と北極の違い
(写真:photoAC)

地球には地軸と呼ばれる自転軸があります。地球はこの地軸を中心にして約24時間かけて一回転します。地軸は地球の最北と最南を貫く形で存在しているのですが、その一番北が北極点、一番南が南極点となります。

南極とは

南極とは、地軸の一番南である南極点を中心として、南極大陸やその周辺に存在する小さな島々に加えて「南極海」と呼ばれる海域を含んだ地域のことを言います。

南極大陸は地球上で最も寒い地域と言われており、太古から降り積もった雪が溶けずにそのまま分厚い氷の塊となって地表を覆っていて、植物が生えることはほとんどありません。

過去に記録した最低気温はマイナス89.2度で、ロシアの観測所であるボストーク基地で観測されました。人間が生活するにはあまりにも過酷な環境であることから、それぞれの国の観測基地とそこに派遣される人は存在しますが、昔から南極に根付いて生活してきたいわゆる「現地人」は存在しません。「大陸」と呼ばれる土地があっても人間が住むことができないほどの寒冷地、それが南極という世界の姿です。

北極とは

北極は、地軸の一番北にある北極点の周辺海域や存在する小さな島々、周辺地域のことを言います。北極点は「北極海」と呼ばれる海に存在しており、南極のように大陸はありません。一年中凍った海がまるで陸のようにつながり、その氷を歩いて北極点に到達することができます。

北極の周辺にはヨーロッパ諸国やカナダ・アメリカ合衆国といった国の領土が隣接しており、一部地域が「北極圏」と呼ばれる北極の限界線内に存在しています。北極の限界線地域には昔から人びとが村を形成し、自然の営みのなかで移り変わる環境と共存してきました。

厳しい環境下の地域ではありますが、海流の関係による気候の変化が見られる地域もあり、北極圏独自の動植物が存在しています。

南極と北極の違い

南極と北極は、そのどちらも「地球の極地であり寒冷地である」という点から同じように考えられがちなのですが、この二つの地域には大きな違いがあります。特にはっきりとした相違点から、南極と北極を比較してみましょう。

南極の方が北極より寒い

同じ寒冷地でありながら、南極と北極では気温に大きな差があります。北極では冬場の平均気温がマイナス20度からマイナス30度であるのに対し、南極ではマイナス50度からマイナス60度となっており、30度以上の差があるのです。

南極には大陸があるが北極にはない

南極も北極も分厚い氷に囲まれているイメージがありますが、南極の氷の下には大陸があり地面が存在しています。南極大陸にはエルスワース山脈と呼ばれる山々があり、そのなかの最高峰であるヴィンソン・マシフという山は標高4892m。実に富士山よりも1000mも高い山なのです。

大陸があり地形の起伏があることも南極の寒さに関係していると考えられています。

南極にペンギンはいるが北極にはいない

ペンギンは寒い地域の動物というイメージが強いため、南極にも北極にも生息していると思われがちですが、実はペンギンは南極にしかいません。逆にシロクマと呼ばれるホッキョクグマは北極圏に生息していますが、南極にはいません。

 

南極に生息している生物

南極に生息している生物
(写真:photoAC)

南極には、そこにしか生息していないめずらしい生物がいます。その一部を紹介していきます。

魚類

南極にる魚類は、厚い氷に阻まれて光も届かない海のなかでも生息できる特殊な性質を持っています。氷より冷たい海中でも凍らない不凍タンパク質や体内塩分濃度の高さといった独自の進化を遂げているのが特徴です。

コオリウオ

そのなかでも特に注目されているのがコオリウオです。コオリウオは別名「アイスフィッシュ」とも呼ばれており、体全体が透けています。この魚の体内にある血液には赤血球がほとんどありません。

南極の海は酸素濃度が高いため、えら呼吸で酸素を取り込み血液中のヘモグロビンで酸素を回さなくても皮膚から酸素を取り込むことが可能だと言われています。まさに南極で生きるために進化した魚です。

は虫類・両生類

南極には、は虫類・両生類は存在しません。は虫類・両生類は寒さに弱く、冬の寒い時期は冬眠します。しかし南極には冬眠するための地面が地表にはなく、氷の下にある地面も凍結している状態です。そのため、は虫類・両生類が生きるには過酷すぎる環境となっています。

鳥類

南極の生き物と聞いて一番に思い浮かぶのはペンギンでしょう。ペンギンは主に南半球に生息する飛べない海鳥なのですが、そのなかでも南極大陸で繁殖しているのはコウテイペンギンとアデリーペンギンです。

コウテイペンギン

コウテイペンギンは、現在地球上にいるペンギンにおいて最大の種類です。黒、白、ピンク、オレンジの色鮮やかな姿は特徴的で印象の強いものですが、見た目だけではなく身体能力の強さの象徴として「真冬の南極で繁殖期を迎える」という点が挙げられます。あえてほかの動物と繁殖期をずらすことで十分な餌の確保を行うことが目的と考えられています。

アデリーペンギン

アデリーペンギンは、小柄で愛くるしい姿が人気のペンギンです。黒と白のツートンカラーで表情豊かな顔立ちが特徴で、立ち振る舞いの可愛さが多くの人を魅了します。コウテイペンギンと同じく南極に生息していますが繁殖期は夏場で、海岸沿いの岩場にコロニーと呼ばれる集団をいくつも作り子育てをしています。

哺乳類

極寒の南極でも、その環境に適応して生息している哺乳類がいます。

ナンキョクオットセイ

ナンキョクオットセイは、南極周辺に生息している哺乳類のなかでも一番小さい種類です。現在確認されているのは200万頭から400万頭、その生息数のうち約95%が南極収束線内にあるサウスジョージア島に集まり繁殖しています。

ヒョウアザラシ

南極の海域全体にある流氷の上で暮らしているのはヒョウアザラシです。全長約2.5mから3.5m、体重は重い個体では600Kgにもなり、厳しい南極の自然のなかでその巨体を上手に活用して生き抜いています。

 

南極で起きている問題

南極で起きている問題
(写真:photoAC)

人の力など到底及ばないと思えるほど過酷な環境の南極ですが、その自然が人間の生活の変化によっておびやかされています。

南極の温暖化問題

地球全体が温まり環境に悪影響を与えている地球温暖化。実は、最近まで南極の温暖化問題は専門家の間で意見が分かれていました。理由は、北極海の氷が減少しているのに対して南極の海氷(海上にある氷)が増大傾向にあったからです。

しかし、研究が進んだ結果見えてきたのは「温暖化が進んだことで海氷が増大した」という驚くべき事実でした。地球温暖化が進むと地表の氷や雪は溶けて気体となり、空へ上昇して雲となります。そこに南極特有の気象状況が加わり、その水分が大量の雪となって南極に積もります。

海氷に積雪することで海面近くの塩分濃度に変化が現れ、海流に影響が出ます。温かい海水が上昇することを阻むため流氷が溶けにくくなり、結果として海氷が増大しているのです。

この現象は地球温暖化が進んだことによる環境の変化の始まりに過ぎず、これが長期にわたって続くとさらに大きな環境の変化が南極に起こることになります。特殊な環境で生き抜く生物全てに影響を及ぼすのです。

ペンギン絶滅の危機

南極の地球温暖化問題は、すでに南極に生息しているペンギンの絶滅の危機という形で現れています。南極大陸の沿岸部には巨大な陸地のように形成された氷山があるのですが、温暖化の影響で溶けたこの塊がゆっくりと沿岸部を移動していきました。そして、アデリーペンギンの大切な餌場を塞いでしまったのです。

餌場に行くことが難しくなったアデリーペンギンは年々減少していき、約16万羽から約1万羽へと激減。このままでは20年後に絶滅すると言われています。

 

南極と北極、この二つの地域はあまりに普段の生活から離れ過ぎて、普段は気にすることがありません。しかし、地球温暖化による問題が確実に南極と北極にも現れていることを知ると、あらためて地球はつながっていることを感じます。

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