食品・食材愛され続ける大分の郷土料理「やせうま」「だんご汁」とは

愛され続ける大分の郷土料理「やせうま」「だんご汁」とは

大分の郷土料理「やせうま」「だんご汁」をご存知ですか?古くから親しまれてきた家庭料理として人気の高い二品。ぜひ食べてみてください。

大分県の郷土料理「やせうま」

やせうまとは

「やせうま」とは、原料の小麦粉をこねて平たくのばしただんごを茹で、きな粉と砂糖をまぶして作られるお菓子のことで、大分を代表する郷土料理の一つです。

郷土銘菓として大分県内の学校給食などで時々出されることがあるほど。また、お盆や七夕に「やせうま」をお供えする習慣が一部の地域で残されています。

やせうまの歴史

「やせうま」という名称の由来は平安時代にあります。

京から豊後の国に都落ちし、古野下原(現在の由布市挾間町古野地区の近辺)に隠居した一族がいました。一族の若君に仕える八瀬(やせ)という乳母は、不自由な暮らしのなか、お腹をすかせた若君のために小麦粉を伸ばしてきな粉をまぶしたものを作って食べさせました。

若君は、このおやつをたいそう気に入り「やせ、うまうま(八瀬、うまいものがほしい)」とねだったことから、そのまま「やせうま」という名前になりました。

 

大分県以外のやせうま

大分県以外のやせうま

大分県以外にもやせうまと呼ばれる食べ物があります。

福島県会津の「やせうま」

餃子のような細い半円の形をした草だんごのことで、その形がやせた農耕馬の背中のように見えることからやせうまと呼ばれています。

農家の人たちが農作業の合間に食べていたおやつで、上新粉やもち粉などを使ってヨモギを入れて練り、丸くしたところにあんこを包んで焼く懐かしい食べ物です。

新潟県佐渡の「やせうま」

涅槃会(ねはんえ)という旧暦2月15日のお釈迦さまが亡くなった日に行う法要の際に、供物としてお供えするだんごのことです。

佐渡の郷土料理で「やせごま」とも呼ばれています。

寒さが厳しい冬の時期、お供えの花の代わりにだんごを色付けして花をかたどったことに由来します。大きさは直径5cmほど。円筒型をしていて、千歳飴のように丸い形の中に色とりどりの可愛らしい絵柄が現れることが特徴です。

もち粉や上新粉を混ぜて生地にし、絵柄の部分はこねた生地に食紅などで色付けを行い、白い生地と色付けされた生地を組み合わせて絵柄を作り、最後に蒸し上げて作られます。

長野県北部の地域に伝わる「やしょうま」

「やしょうま」は新潟と同様、涅槃会に仏壇に供えるだんご菓子で、信州の郷土料理です。

名前の由来には諸説ありますが、長野は馬とのかかわりが深く、骨ばった馬の背中にだんごの形が似ていることから「やせうま」と呼ばれ、それがなまったといわれています。

米粉を使った餅菓子のような「やしょうま」は、彩りがとてもきれいで毎年春になると各家庭で作られています。

 

大分県の郷土料理「だんご汁」

だんご汁とは

「だんご汁」は大分県の郷土料理の一つで、平たい麺のような形のだんごとさまざまな野菜を入れて煮込んだ味噌味の鍋料理です。いりこ(煮干し)でとっただし汁の風味と味噌仕立ての味わいが素朴で人気があります。

特徴・歴史

だんご汁と聞くと丸めた肉だんごや鶏だんごを入れた汁物がイメージされますが、大分のだんご汁には、小麦粉を伸ばして作った平たい麺のような形のだんごが入っていることが特徴的です。

大分県は山が多く、稲作が思うようにできずお米が貴重でした。そのため、白米を主食とする代わりに小麦を原料としただんごで作るだんご汁を夕食に食べることが多かったのです。

作り方は、

  • 手順1
    小麦粉に塩と水を加えてこねた生地を用意し、生地が延ばしやすくなるようにしばらく寝かせる
  • 手順2
    生地を3cm〜4cm程度の長さにちぎり、一つずつ手で長く延ばして平らにする
  • 手順3
    ごぼうや人参、里芋などの根菜類のほか、しめじやえのきなどのキノコや鶏肉、だんごを入れて煮込む

これで完成です。

大分の各地で食べられるだんご汁ですが、だんごの作り方や形は地域によってさまざまです。

手で握る方法、こねたりのばしたりといった作業をきちんと行わずに作る方法、水分が多めの柔らかい生地をお玉やスプーンで汁の中に丸めながら落として作る方法などもあります。

また原料については、

豊後水道沿岸の地域では小麦粉ではなくさつま芋を粉にした「かんころ粉」、宇佐平野では平野部でお米がとれたこともあり、米粉やもち米の粉を使用しています。

「だんご汁」は、特別な日に食べるハレの日のご馳走というよりは、ケの日(日常)の家庭料理として食べられています。そのため、地域によってさまざまな食べ方や作り方があります。

だんごを汁に直接入れて煮込むことでとろみが付き、満腹に感じられます。日常の夕食に最適な家庭の郷土食といえるでしょう。

郷土料理として大分県内の祭りの屋台のほか、飲食店などでも提供されることも多く、時代やニーズに合わせて具材や作り方も工夫されながら現在へと続いています。

やせうまだんご汁とは

「やせうまだんご汁」とは、大阪の老舗郷土料理店「九州八豊」の商品名です。

先にご紹介したとおり、「だんご汁」は具だくさんの味噌仕立てのダシに平らに伸ばしただんごを入れた郷土料理です。一方の「やせうま」は、小麦粉を平らに伸ばして茹でたものにきな粉をまぶして作った郷土銘菓です。

「やせうまだんご汁」は、この大分の郷土料理2つを組み合わせた造語なのです。

 

通販でおすすめのやせうま・だんご汁

通販でおすすめのやせうま・だんご汁

焼やせうま 豊後伝説

「焼きやせうま 豊後伝説」は、大分郷土銘菓「やせうま」をイメージしたせんべいです。胡麻ときな粉の豊かな風味と香ばしい香りや味わいが絶妙で、一枚ずつ手焼きで作られています。

素材へのこだわりと一枚一枚職人が丁寧に手造りで焼き上げる技術が認められ、第25回全国菓子大博覧会において名誉総裁賞を受賞しています。

大分県の郷土銘菓として、別府や湯布院など大分で有名な観光地の老舗高級旅館などでお茶請けとして出さるほどです。

九州八豊 【手延べ】やせうまだんご汁鍋

大阪にある大分県郷土料理老舗「九州八豊」で人気のメニュー「やせうまだんご汁」の味を家庭で楽しめるように開発された鍋料理用の商品です。

たくさんの具材が入った秘伝の味噌仕立てのダシのパウチパックと手延べだんごがセットで冷凍販売されており、温めるだけで手軽にお店の味が楽しめます。

手延べだんごは大量生産できないことから消費量は年々減少傾向にありますが、九州八豊では手延べ製法を伝承し、小麦粉をこねて一本ずつ手作業で延ばして作られています。別包装の手延べだんごは、さっと茹でてダシに加えることでお店と同じ味が再現可能です。

また、鍋物料理は具材が多いほどダシの風味やコクも豊かになるので、お好みで魚介類や野菜、豆腐などの材料を追加するとよりおいしくなります。